企業における刑事事件対応には、役員や従業員が刑事事件を起こしたり、刑事事件に巻き込まれた場合と、企業自身に対し、犯罪の嫌疑がかかる場合があります。
また、役職員の刑事事件には、業務上の事件と、業務外の事件があります。
■業務上の刑事事件の場合
会社の役員や従業員が、業務上刑事事件を起こした場合には、会社は、当該事件に対する対応として、以下のようなことを考えなければなりません。
・弁護人は誰にするのか(企業が選任に関わるべきか)
・企業として調査すべきか、調査の程度はどの程度か、誰が調査をするのか
・当該役職員を懲戒処分とするのか、する場合には、いつどの程度の重さの処分とするのか
・民事上の請求(損害賠償請求)はするのか)等
また、対外的な対応として、以下のようなことも考えなければなりません。
・公表の要否、公表する場合には、いつ、どのような内容でするのか
・被害者がいる場合、企業として賠償義務はないのか 等
捜査の初期段階できちんと先を見据えて対応しなければ、当該事件が、企業自体の社会的信用や業績に、思いの外重大な影響を与えることもあります。
したがって、役職員が刑事事件を起こした場合には、企業として適切な対応を取るため、早期に弁護士に相談すべきといえるでしょう。。
■業務外の刑事事件の場合
役職員が業務とは関係のないところで刑事事件を起こした場合としては、たとえば、通勤途上の痴漢事件や、プライベートでの飲酒運転や傷害事件等が考えられます。
そのような場合であっても、事案によっては、役職員が所属していた企業名が公表されるリスクや、被害者から使用者責任を追及されるリスクがあります。
また、事件の社会的影響や役職員の地位に照らし、企業として何らかの対応をすべき場合もあります。
企業としては、当該犯罪行為をもって役職員を懲戒処分に処するべきか否かについても、検討をしなければなりません。
役職員の立場や事件によっては、会社が弁護人の選任に関し、適切なアドバイスをして事案の早期解決を図るべきこともあります。
そのため、たとえ業務外の刑事事件であっても、企業として対応すべきか否か、弁護士に相談すべき事案も少なくありません。
役職員等に嫌疑がかかった場合に、直接の行為者である役職員のほか、企業自体や使用者も処罰の対象となることがあります。
そのような嫌疑の対象となった場合には、企業や使用者を弁護するために、役職員の弁護活動と共同するなど、特別な対応が必要となることもあります。
当事務所では、企業法務・危機管理のみならず、刑事事件の経験も豊富に有していますので、そのような事件にも適切に対応することができます。
また、近時、企業取引の国際化に伴い、米国における海外腐敗行為防止法(
The Foreign Corrupt Practices Act)
適用事案の増加等、企業は、国内にとどまらず、国外の刑事事件リスクにも対応する必要があります。
当事務所は、企業が海外の刑事事件に巻き込まれた場合であっても、国外法律事務所との連携の下、適切に対応することが可能です。